小学館
¥268

西岸良平
三丁目の夕日・犬の思い出 2002.9.21記

小学館のビッグコミック・シリーズで長期連載の西岸良平の『三丁目の夕日・夕焼けの詩』からベスト版というか、オムニバス編集物がMy First BIGシリーズの廉価版でリリースされた。
今回は毎度おなじみ昭和30年代の夕日町三丁目を舞台に犬をテーマにした作品13話を集めた「犬の思い出」だ。

私の家には柴犬がいる。なぜだか分からないが犬を飼うなら日本犬と決まっていたような感じさえする。そのなぜだか分からない中にこの漫画の世界が自分の中にあったようにも思える。
犬は人間のパートナーとして古代から存在していたらしい。その証拠になるかどうか分からないが、テレビのバラエティーやドキュメンタリー番組を見ると東南アジアのかなり貧しそうな地域や前人未到のような秘境でも犬が人間としっかり生活を共にしている。

この漫画に描かれている夕日町三丁目の犬達は今の時代とは少しばかり違う形で人間と共存している。それは首輪やリードをつけている犬が少ないことだ。思えば昔は野良犬の数が多かった。しかし、今の時代よりも野良犬は住みやすかったに違いない。どの家でも犬がウロウロしていたら残飯を与えていたように思う。
この残飯だが、昔の犬の食事のイメージは残ったご飯に味噌汁などをかけた、いわゆる「ぶっかけ飯」だった。この食事は現代では塩分が多すぎるらしい。今の時代の犬の平均寿命は12才以上にもなる。昔の犬の寿命が7才にも満たなかったという話を聞くと、やはりぶっかけ飯は良くないのかなとも思わないわけにはいかなくなってしまう。
ただ、寿命の長い短いも大事だが、犬の生き方、人間と犬の関わり方という点では今の時代よりも昔のほうが微笑ましい絆があったように思えてしまうのがこの漫画を読んでの印象だ。
「犬の思い出」に出てくるエピソードに限らず、西岸良平の世界はノスタルジーに満ちているのだが、これらの作品を若い人たちはどのような気持ちで読んでいるのか、また読んだ後にどのような気持ちになるのか非常に興味がある。

収録作品は、

第1話:母の記憶
第2話:ビッケ
第3話:愛犬物語
第4話:コジローの失敗
第5話:恐妻家
第6話:タロー物語
第7話:影絵
第8話:逢魔が時
第9話:狼鬼の夜
第10話:犬のお使い
第11話:老人と犬
第12話:ひとめぼれ
第13話:猫と犬

表紙や目次から見つけたこの漫画を象徴している言葉。

■昭和30年代----飼い犬を鎖でつないでおかなくても良かった時代。
■犬が最初の友達でした。
■あの頃は、今のように贅沢はできなかったけれど、人々の間に温かな
 触れ合いがあった。
 今も目を閉じれば、あざやかに甦る、懐かしい思い出の町----。
 ここは、夕日町三丁目。