フィルムアート社
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70年代アメリカン・シネマ103 2001.10.27記

黄色い(山吹色)表紙にはタイトルに負けないぐらいの文字の大きさで注釈が書いてある。

俺たちに明日はないから地獄の黙示録までこの13年間のアメリカ映画をみつづけてきてぼくたちは幸せだった。
70年代のアメリカン・シネマは<映画>との最高の出会いをぼくたちにもたらしたのだ。
そのエキサイティングでグレートな103本が集まった!

なんとも痒くなってくるような大げさなセリフである。
しかし、この本に関しては決して大げさなセリフではないのかもしれない。そして、この本はかなり自分自身の肌に合う本であった。

インターネットで資料の検索が驚くほど簡単になってきた今、私の何回目かの引越しは大きな出来事だった。というのは今まで資料の山と化していた書籍をかなり大幅に処分したからだ。今までどうしても処分することができなかった本たちと惜別の引越しだったのである。
時代、年代に関係ある資料は、出版された時はもちろん新しいし、それ以前の出来事は資料として役に立つ。しかし、それ以降の事に関してはどうしても触れることができないという宿命を持っている。だから本棚には半直線的な時間軸の資料が溜まっていく。
それがインターネットという資料の宝庫の存在により一掃されたのだった。
そんな在庫大処分の中でこの本は生き残った。

生き残った理由は2つある。
1つは、時代という時間軸が半直線ではなかったこと。70年代という10年間(正確には13年間)を一括りにしていたことだ。
もう1つは、中に収録されている映画の選別が自分の趣味に近かったからだ。

この本は表紙の注釈にもあるように70年代のアメリカ映画を紹介した本だ。しかし、実際は1967年からの作品が紹介されている。理由は70年代の映画を象徴する「ニュー・シネマ」という言葉を誕生させた「俺たちに明日はない」の公開が67年だったからだ。70年代といいながら67年からの作品を取り上げている。これだけでも看板に偽りあり!と言われかねないのに、この本にはもう1つ大きな嘘があるのだ。それは、103本の映画としながら実際には104本の映画が紹介されているのだ。理由は、79年11月に編集を終了した後の79年年末にスピルバーグの「1941」が公開されたので急遽それを入れてしまい104本になったというのだ。なんともいい加減な本である。
それでは、この本に収録されている70年代ニュー・シネマを104本を紹介する。

1967 俺たちに明日はない
   卒業

1968 猿の惑星
   2001年宇宙の旅
   泳ぐ人
   ローズマリーの赤ちゃん
   ブリット
   フィクサー

1969 真夜中のカーボーイ
   ワイルドバンチ
   イージー・ライダー
   明日に向かって撃て!
   ひとりぼっちの青春

1970 パットン大戦車軍団
   大空港
   ウッドストック
   M★A★S★H・マッシュ
   いちご白書
   ファイブ・イージー・ピーセス
   エルビス・オン・ステージ
   ある愛の詩
   真夜中のパーティー

1971 バニシング・ポイント
   おもいでの夏
   ジョニーは戦場へ行った
   黒いジャガー
   フレンチ・コネクション
   ラスト・ショー
   屋根の上のバイオリン弾き
   時計じかけのオレンジ
   ダーティーハリー

1972 ホット・ロック
   キャバレー
   ゴッドファーザーpart1・part2
   男の出発
   ディープ・スロート
   脱出
   大いなる勇者
   ロイ・ビーン
   探偵・スルース
   ポセイドン・アドベンチャー
   激突!

1973 ロング・グッドバイ
   スケアクロウ
   ペーパー・ムーン
   アメリカン・グラフィティ
   ジーザス・クライスト・スーパー・スター
   燃えよドラゴン
   追憶
   エクソシスト
   スティング
   
1974 続・激突!カージャック
   カンバセーション・盗聴
   ザッツ・エンタテインメント
   チャイナタウン
   ハリーとトント
   ファントム・オブ・パラダイス
   サブウェイ・パニック
   悪魔のいけにえ
   フロント・ページ
   タワーリング・インフェルノ
   ヤング・フランケンシュタイン
   ロンゲスト・ヤード

1975 アリスの恋
   JAWS・ジョーズ
   ナッシュビル
   狼たちの午後
   カッコーの巣の上で
   バリー・リンドン

1976 グリニッジ・ビレッジの青春
   タクシー・ドライバー
   ファミリー・プロット
   大統領の陰謀
   がんばれ!ベアーズ
   オーメン
   愛のメモリー
   キャリー
   ネットワーク
   ロッキー

1977 アニー・ホール
   スター・ウォーズ
   ジュリア
   未知との遭遇
   愛と喝采の日々
   グッバイガール
   サタデー・ナイト・フィーバー

1978 帰郷
   ラスト・ワルツ
   ミッドナイト・エクスプレス
   ビッグ・ウェンズデー
   天国から来たチャンピオン
   アニマル・ハウス
   ウィズ
   ディア・ハンター
   スーパーマン

1979 ウォリアーズ
   チャイナ・シンドローム
   マンハッタン
   エイリアン
   地獄の黙示録
   1941

こうやって収録されている映画を羅列してみると、何でこの映画なの?というのがあったりするのではないだろうか。
最初この本を手にした時に私も同じように感じた。しかし、本の冒頭にこんなことも書いてあった。

作品の選出にあたっては、ベスト・テンの上位を占めたものと、大ヒットした話題作は網羅し、かならずしも質的にすぐれたものではなくとも、この時代のアメリカ映画を語るのに不可欠と思われる作品も加え・・・

まさに全くその通り、と納得せざるえないのであった。


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