情報センター出版局
\1,359-

小林紀晴
ASIAN JAPANESE

知人からこの本の名前を聞いてからあちことの本屋に行ってもなかなか見つける事はできませんでした。注文という事も考えたのですが出版社も分からないのでそのままになっていました。
ひょんなことから千葉県で何とも不思議な本屋(ヴィレッジ・バンガード)で発見したのですがなんとそこに平積みになっていました。早速購入して読みました。感想は素晴らしいの一語に尽きます。
内容は、著者であり写真家である小林紀晴さんが1991年にアジアを旅した際にその各地で出会った日本人旅人の事を書いたものでもちろんその人たちの写真もあります。
各人がどんな思いを抱いてアジアの旅に出たのか興味深く描かれています。そして3年後の1994年小林さんは日本で彼ら彼女たちと再会します。
3年という月日が彼らをどのように変えたのか、またあの時の旅は何だったのか、旅先というちょっとテンションの高い時ではなく日本の日常の中で旅を考えたところにこの本の面白さがあります。
この本の中でアジアの旅人達は素晴らしい言葉を語っています。そのいくつかを紹介します。

●ここの日本人は、日本人でも日本人でないから。

●一ヶ所に住み、同じ景色の中にいつもいて、同じテレビを見て、同じ物を食べて、同じ仕事をして、なんていうのが正しいとみんな思っているけどそれってみんなが勝手にそう思っているだけでしょ。自分たちで自分たちを縛っている気がとてもするの。本当はもっと自由でいいんじゃないかって思う。

●あの旅はやりたかった旅ではなく、しなくてはいけなかった旅だった。

●行かなければならなかった旅と行きたい旅の違い。

●人と人との出会いに偶然なんてないと思うの。どんな出会いにだって、それぞれの意味が必ずあることだと思う。

●自分のしたいことではなく、しなくてはいけないことを好きになる。

●逃げることはリスクが大きい。

●理解するのではなく感じること。

●ちゃんと仕事をする人だったら一ヶ月ぐらい休んで戻った方が新しい人を新しく雇うより合理的だし、いい仕事ができるでしょ。日本人は休みを罪と思っているから、僕には分からないよ。

このように素晴らしい言葉がたくさんでてきます。小説の作られた言葉ではなく生きた言葉がそこにあるので感銘を受けます。
小林さんが出会った人の中にはインドで何かに触発されて死を選択してしまった人や60才を過ぎてバンコクの旅社で永住を決意した老人の話などもあります。
それぞれの人が感じたアジアを是非体験してもらいたいと思います。
ところで著者の小林さんは表紙に登場する川口良子さんのことが好きなのではないでしょうか。

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