講談社α文庫

¥1000税別

立川直樹
森永博志
「快楽」都市遊泳術 クラブ シャングリラの予言 2000.11.27記

絶対に紹介したい本だったのだが、なかなか機会がなかった。世紀末で回顧番組や特集も増えているようなので、便乗して紹介させてもらう。
この本はエスクァイア・ジャパンで連載されていたものの中からの抜粋の対談本だ。対談しているのは立川直樹氏と森永博志氏。立川氏は音楽評論家から音楽プロデューサーへ幅広い活躍をされている人。そして森永氏は雑誌POPEYEの編集者だった人だ。
扱われている時代は1989年から1994年でいわゆる「バブル時代」だ。20世紀の流行文化を語る中であの狂乱のバブル期を避けては通れないだろう。
この本はバブル期の東京を中心にした流行文化をリアルに再現してくれる。当時の遊び場、映画、音楽、アート、酒、女・・・あらゆる遊びとしての流行文化が二人の口から語られている。
当時を懐かしむも良し、当時を再認識するも良し、この対談は21世紀を迎えるにあたってぜひとも読んでいただきたい。
読むポジションとしては、立川・森永両氏がグラスなど傾けながら語りあっているクラブ・シャングリラというバーのカウンターでバーテンでもしながら何気なく聞き耳を立てているというスタイルが良いかもしれない。
全編2人の対談がほとんどなのだが、松任谷由実や北野たけしをはじめ興味深いゲストも登場するのでそれもまた面白い。
関東圏以外の人には鼻持ちならないと思われる部分もあるかもしれないが、それも含めてバブルの検証として欲しい。
巻末にある「用語解説」は資料としてもたいへん優れているので、これだけでも読む価値はじゅうぶんある。

いつものように、目次を紹介する。

まえがき 森永博志

1 週に一度はジャンク・フードを食べたい
2 古本屋の親爺と会話する愉しさ
3 ベッドがひとつにテレビがひとつ、あとは本が積んであるだけの生活
4 彼らは生きながらにしてモッズ
5 わかったふりせず、自分のスタンスで堂々と
6 芸術家はだらしないものだ、なんて通用しない
7 わからない人には何だかサッパリわからないから素晴らしい
8 感覚的なものを信じようとしない日本人
9 身体と金を使って街に出かけていく人間しか信用しない
10 不揃いなものにこそ愛情がもてる
11 観終わったあと、もう元に戻れなくなる映画
12 時代のリーダーはアングラ・マインドを持った実力者
13 日本では、ロックも単なる青春の思い出
14 シャンパン、キャビア、コルトレーン、至福の部屋遊び
15 エコロジー御宅の前に、人間は地球のために反省しなければならない
16 ひとつのことを追求して、到達していくカッコよさ
17 セックス好きな人間は、女の腹の上で死にたいと望む
18 メジャーで失敗したから、マイナーで生き長らえようとする卑怯者
19 本物の人の方が一回遊びに来ないって軽く言う
20 ストレスのない暮らしが一番長生きする
21 つきつめればみんな芸人、すべて見世物
22 宗教ではなく、信じられる何かが自分の中にあるか、ないか?
23 いかに上がらず、いかに情けなくならずに生きるか?
24 ミーツ。誰かと会って何かが始まる
25 40代で遊んでるなんて、とんでもないことみたい
26 お金がない時は、ないなりの遊び方、緩急自在に生きていく幸せ
27 「してやろう」と「してあげよう」の違い
28 仕事で組むなら気心知れている相手が一番
29 何でもかんでも知っている人間のつまらなさ
30 フランク・シナトラは元祖・不良
31 大人は大人で、若者のことなんて考えない方がいい
32 しみったれた映画なんか観たくない
33 生きてる人の不幸と死んだ者の幸福
34 人生に往復はない!!
35 期待されないと、思い切り好きなことをやれる
36 やるだけやって、きれいにカタをつけられる人生が一番

クラブ シャングリラの饗宴----文庫化にあたって

37 やはりキャリアの長さは伊達じゃない
38 淡々とした暮らしの中に森羅万象

特別寄稿:

今宵も愉しき盗み聞き 森雪之丞
『「快楽」都市遊泳術』によせて 矢部直
『「快楽」都市遊泳術』によせて MAYA MAXX
『「快楽」都市遊泳術』によせて ロバート・ハリス
「N.G.」 Char
二十一世紀のビルドゥングス・ロマンのために 福田和也

あとがき 立川直樹

本書をより楽しむための用語解説


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