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高橋克彦
杉浦日向子
その日ぐらし 1999.9.17記

この本のサブ・タイトルは「江戸っ子人生のすすめ」。
リストラや猟奇事件が多発する現社会において清涼剤というか、理想の生活というか、なにかふんわりした感じを味わえる本です。
江戸っ子の気風のよさというよりは、いいかげんさがよく分かる本です。
いいかげん・・・それはなんでしょう?無責任とはまた違う、悪意のなさというか、しょうがないなぁ、と言って許してしまう範囲のこととでも言えばいいのでしょうか。

作家、高橋克彦とかつて漫画家、現在、江戸風俗研究家の杉浦日向子の対談というか雑談で進行されるこの本は、目を閉じると江戸の風景が目に浮かんでくるし、実際今の東京の景色をも変えてしまうだけの力があります。
こんな風にいいかげんにいきられたらなぁ、と思ってしまいます。もちろん今の世の中においてはないものねだりなのですが。

この本で題材になっているいくつかのテーマを紹介します。

●お江戸八百八町の心意気
 
 持家なんぞけちくせえ
 米が切れたら稼ぎに行く
 江戸っ子気質は火事のせい
 出世なぞどこ吹く風
 江戸の男の八割は一生独身
 前世は武士の女房でございました

●八つぁん、熊さん、カカアの暮らし

 時代劇など起こらない
 お上のお沙汰も庶民にゃ無縁
 飢饉よりよっぽど恐い現代の交通事故
 煮炊きも掃除もカカアはしない
 江戸っ子渡世は週休五日
 江戸時代の日本は南国だった!?

●住んでみりゃわかる江戸の快適

 狭くて暗くてどこが悪い
 下町情緒なんぞとんでもない
 江戸っ子の95%は江戸生まれじゃない
 今日は魚屋、明日は八百屋の気楽な稼業
 ローン知らずのその日暮らし
 大江戸サラリーマンは給料すえおき
 名前も住まいも気軽に変えて

●はからずも江戸っ子人生
●人間死んじまっちゃあ遊べねえ
●浮世絵師は人気商売
●江戸とハイカラが生んだ新聞錦絵
●見えない世界をなめちゃいけない
●1999年、地球維新は来るか?

と、目次の一部を紹介しました。

銭形平次のように岡引というのは十手は持てなかったそうです。同心あたりから小遣い銭をもらい情報を提供するといのが生業で、町内の住人からは嫌われていた鼻つまみ者だったようです。
刃傷沙汰もほとんどなく、辻斬りを見たなどというと、孫の代まで語り継がれるほどだったようです。

私たちが知らない江戸の事実もわかるし、読んでいるとほんと気が和みます。
なんかイライラ感のある今こそこんな本でゆったりとした時間を過ごしてほしいと思います。

ちなみに、文庫本も出ています。

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