都市出版株式会社
900円
東京人 2002年8月号 2002.7.13記

都市出版株式会社という私にとっては馴染みのない出版社から毎月3日に発売されている月刊誌だ。
タイトルどおり、ほとんど東京のことしか書かれていない。だからこの雑誌を知っている人はきっと限られているだろう。私の場合、毎月買っているわけではない。特集がが気を引くものであれば買うが他は立ち読みですませている。900円という定価は160ページ程度の雑誌にしては高い値段設定だ。さして広告も取れないだろうし、売れ行きもそんなには良くないのであろう。

私がこの雑誌を好きな理由は紙質、特に手触りが好きなこと。そして紙の匂いも好きだということ。紙は若干厚め、手触りはほどほどにざらざら。そして、その紙の匂いはレトロぽくもあるが決して貧乏臭くはない。そして、その紙に載っかっている写真が綺麗で自分の好みであるのも好きな理由でもある。あちこちの雑誌で東京紹介をしているが、どの写真もできはひどいものばかりだ。決してカメラマンが悪いということだけではない。印刷がいい加減なものが多いのだ。印刷された写真に関してカメラマンのクレジットを載せることに不満のあるカメラマンがいないというのは何とも嘆かわしいこと。と言えるほどひどいものが多い。
そんな中でこの雑誌の写真は紙質とのバランスがとても良く、写真だけ見てても和めるという貴重なものだ。

『東京人』2002年8月号を久しぶりに買った。特集に目を引かれたからだ。その特集は「2003年東京計画地図」となっていて、東京の再開発プロジェクトである六本木ヒルズ、丸の内、汐留、品川駅東口、日本橋、八重洲、秋葉原などの今後の姿を紹介してくれているからだ。
東京はここ10数年で大きな変貌を遂げた。10数年前といえば1980年代後半でバブル期の頃だ。バブルは弾けて日本の経済を大きく変えることになったが、東京改造は進行スピードこそ遅くなったが確実に進行してきた。そして先にあげた2003年の再開発プロジェクトの完成でほぼ全容を見せることになるだろう。もちろん、築地市場の移転などこの先東京の進化は終わることない。
都心部とお台場をつなぐレインボーブリッジを渡りながら内陸としての東京の風景を見ると高層ビルの数は驚くほど増えている。東京タワーを探すのに時間がかかるほどだ。1954年制作の映画『ゴジラ』でゴジラは東京湾より都心に上陸し当時の東京を破壊していくが、仮に今、ゴジラが東京湾に出現しても東京タワーは目にも入らないだろう。

私は今、千葉に住んでおりいわゆる「千葉都民」に属する。住む場所と一緒に気持ち的にも以前より東京を少しばかり斜に見ることのできる位置になったような気がする。私の家内は1964年、東京オリンピック開催によって東京が大きく変化した年に生まれた。古い邦画で東京の昔を見ながらよく2人で笑いあっている。そしてそれらの古い東京の街並みの今の姿を目の当たりにして驚いたり笑ったりしている。その街並みには昔から営業している老舗の店がまだ存在していたりもする。そんな店に入って今の時代の東京を感じることにささやかな喜びを感じたりもしている。
この『東京人』という雑誌は、そんな気持ちをもくんでくれるような雑誌だ。雑誌というジャンルのもので、捨てずに残しておきたい雑誌はそうそう多くはない。買い求めた『東京人』はいまだにどの号も私の本棚で存在感を示してくれている。
来月9月号の特集は「たてもの東京昭和史」、また買ってしまいそうだ。

ちなみに今月8月号の小特集「路地裏のうまい店」は四谷荒木町、神楽坂、日本橋人形町を取り上げているが、こちらも写真が綺麗で小特集にしておくのが惜しいくらいだ。

『東京人』のサイトはこちらから


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