ザ・ビーチ ネタばれ度:★★★ 2000.4.24記

この映画の公開については当初あまり関心がありませんでした。ところが映画評論家のおすぎさんと襟川クロさんがこの映画については全く評価していないようなので興味を持ちました。というのはお二人は「シュリ」を絶賛していたのですが、「シュリ」は、?だった私にとってはその二人が酷評する映画はどんな感じなのだろうという興味を持ってしまいました。

ディカプリオが「タイタニック」に続いて選んだこの映画は、幻の楽園(パラダイス)を探し求めたディカプリオら3人が楽園でのコミュニティーに参加したものの、楽しかったのは最初の時だけで、規律、労働、内紛というように現実社会と何ら代わらない事に気がつく。という内容の映画です。
監督は「トレインスポッティング」のダニー・ボイル。この映画を見て思ったことは、いつの時代にも馬鹿な若者はいるのだということ。タイに存在するといわれている「幻のビーチ」には先住者として20人近くの若者が島の現住者たちと共存して住んでいます。島には大麻が栽培されていてアウトローな若者にとってはまさに楽園なわけです。しかし見ようによってはバンコクのカオサンあたりのフーテン(古い!)バックパッカーが場所を島に移しただけのようにしか思えません。
これが60年代の映画であれば、ヒッピーが社会に不満をもって、自分たちの村を作ってそこに住みだす。というようなことになるのでしょうか。ウッドストックに集結する若者もこのビーチに集結する若者もそんなには違いがないのでしょう。
新しい思想を持つということを、秩序を壊すことや現実から逃げ出すことと履き違えている若者はいつの時代にもいるということを分からせてくれる映画でもあります。
また、どんなに自由を唱えたコミュニティーでもそこにリーダーが存在した瞬間からそのコミュニティーには宗教的背景ができてくるということもこの映画を見てわかるような気がします。

撮影はタイのピピ島を加工して行なわれたということで、「幻のビーチ」がどのぐらい美しい所だろうと期待大なのですが、残念ながら「幻のビーチ」はそれほど美しくもないし、そこでコミュニティーを営む住人の社会ルールも別に魅力的なものでもありません。
従って、あの島で住みつづける若者は社会からの逃避者としか映りません。「幻のビーチ」の景観や生活を魅力的に描けなかったところがこの映画の最大の欠点だと言えるでしょう。魅力的でないからディカプリオの苦悩も困惑も全て説得力がありません。
もし、ディカプリオが出ていなければ、この映画は「隠れ面白映画」として評価されるのかもしれません。しかし、彼の出演により、必要以上に注目されてしまうことがこの映画の評価を大きく変えてしまうのではないでしょうか。
ディカプリオ大好きの人にとっては、ちょっと物足りないし、アジア大好きでタイの風景を楽しみたい人にとっても物足りない映画になってしまいました。
音楽は、「ツイン・ピークス」のアンジェロ・バダラメンティですが、これも彼らしい部分はクレジットを見るまで気が付かない程度の音楽でしかありません。

かと言って、全く面白くなかったのかと言うと、不思議なことにそうでもありません。そこそこ面白かったのですが、不満も残る。という感じです。「幻のビーチ」に毒されてしまったのかもしれません。

ネタばれなんですが、最後にリーダーのサル(人名)が実弾を一発だけこめてディカプリオに発砲しますが、あれは「ディア・ハンター」のようにロシアン・ルーレットの意味だったのでしょうか?それとも島民のリーダーのトリックだったのでしょうか?お分かりになる方、ぜひ教えて下さい。119分。


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