ブラザーフッド ネタばれ度:★☆☆ 2004.12.13記

久しぶりに楽しくない映画を見た。楽しくない=面白くないとは別ということでだ。『プライベート・ライアン』『フルメタル・ジャケット』『シンドラーのリスト』なども含めて戦争を題材にした映画はこの映画でなくても楽しい映画などあろうはずもない。
その中でも韓国の戦争映画はちょっと違った感じがするのは姿かたち、肌の色が日本人と一緒だからなのだろうか。それに加えて、侵略戦争ではなく民族戦争という点も気が重くなる大きな要素なのかもしれない。
今更、戦争とはいかに悲惨で愚かなことかなどと言っても仕方がないが、戦争は直接関わった人やその周辺の人たちの人生や人生設計をも簡単に壊してしまうということは確実のようだ。

韓流ブームの中で、日本で言われるところの『韓国四天王』のうちの2人、チャン ドンゴンウォン ビンが出演しているこの映画はヒットしたのだろうか。映画のプロモーションで来日した2人はワイドショーなどでよく見ることはあった。しかし、レンタル・ビデオ店に置いてあるこの映画のDVDはあまり貸し出しになっていないようなのでヒットしたのかちょっと疑問だ。
仮に韓流ブームのおかげで見る人が大勢いたとしても、おば様たちは涙しながらチャン ドンゴンがカッコ良かった。ウォン ビンが可愛かった。という感想が多いのだろう。もちろん、それらの感想があってもおかしくないし、モノの見方など人それぞれだから非難などするつもりもないが、対岸の火事としてしまうのはちょっと悲しいかも。せっかく韓国に興味を持ったのならもっと朝鮮半島のことを知ってみようという思いが出てもいいのかなという気はしないでもない。
2002年韓日共催ワールドカップが行われた時に日韓の意識調査をテレビでやっていた。日本人で韓国の場所を東南アジア地図の中から正しく示せた人は30%もいなかった。当時の韓国の大統領キム デジュンの名前を言える人はもっと少なかった。韓流ブームの中で隣国に興味を持つ人が増えていることは間違いないのだから、隣国意識も少しは上がってくれていると思いたいものだ。

映画については、映画の宣伝スポットなどで流れているのがほぼすべてネタばれしている。朝鮮戦争の騒乱に巻き込まれた中での兄弟愛とその家族の話と言ってしまえばほぼ全部だ。戦争体験などもちろんないわけだから戦場描写がリアルだというのも何だが、被弾シーンや殺戮シーンなどはなかなか見ごたえがある。ただ、それらに目を奪われすぎて主人公達の心根の部分が見えにくくなっているのも事実かもしれない。
戦争最前線のあまりの惨状を経験している韓国軍兵士から「日帝時代は国が一つになって戦ったのに、何で同胞同士が戦わなくてはならない」というセリフが朝鮮戦争両軍の下級兵士を代表する気持ちなのだろう。チャン ドンゴン演じる兄ジンテにしてみれば最愛の弟ジンソクに危害を加える者であれば、それが北であろうが南であろうが敵であるというあたりもこの戦争の大義名分が国の上層部のものでしかなかったのでは?と思わざるを得ない部分かもしれない。
思想ということで言えば、兄ジンテの結婚相手ヨンシン(イ ウンジュ)が配給米をもらうために、ある名簿に名前を記したことから社会主義者とされてしまうが、彼女ははたして無知だったのかと言うとそれは疑問だ。告発された理由の中には何度か集会に参加したとされていたが、それが告発のための捏造なのか本当なのかは分からない。両親を失い、夫となるジンテと義弟になるジンソクを軍に持ってもいかれ、体が衰えている義理母と幼い3兄弟を抱えて残された彼女にとって北の社会主義が光り輝くものに見えたとしても何ら不思議ではない。

同じ民族同士で戦うことを強いられてしまった朝鮮民族だが、そこに我ら日本国が大きく影響を与えたという歴史的事実も我々は知るべきなのだと思う。少し前までは『近くて遠い国』とされていたが、韓流ブームをきっかけに少しは歴史的な付き合いや関わりについても知ることが大事なことであると考えるのはジジ臭いのだろうか。
戦争を含めた歴史的動乱を題材にした韓国映画で面白いものはたくさんあるが、2度までは見たくないと思ってしまうのは何故なのだろう。
余談だが、北の大佐は演じていたのがチェ ミンシクだったのにはビックリ。監督が『シュリ』と同じカン ジェギュだがチェ ミンシクは北顔なのだろうか。

2003年/148min



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