ヒマラヤ杉に降る雪 ネタばれ度:★☆☆ 2001.9.29記

まず最初に、とても綺麗な映像の映画だ。
スローモーションのスピードとカメラ・ワークの移動スピードが同じだ。そして、そのスピードは映画の中で度々登場する雪の降るスピードと同じだ。
このことが見る側に優しさ、哀しさ、緊張感を最大限に与えている。更に映像の美しさにも一役かっている。

1954年のワシントン州の小さな島で起こった殺人事件の裁判の模様がストーリーの主軸になっている。この裁判の被告は日系人男性で、当然、第2次世界大戦終了後10年も経っていないその時代背景には日本人差別という偏見が裁判の底辺にはびこっている。
この被告を傍聴席から見つめるのが、その妻のハツエ(工藤夕貴)。そして、それを更に見つめるのが新聞記者のイシュマエル(イーサン・ホーク)。
この裁判がきっかけで再会したハツエとイシュマエル。映画は回想により時間軸を真珠湾奇襲攻撃の前までもさかのぼる。移民日系人が働くイチゴ畑で幼いハツエとイシュマエルは出会い、お互いに好意を抱く。しかし、そこには人種偏見という大きな壁が存在する。そして2人にとって決定的なダメージである真珠湾攻撃が起こる。日系人の住民は全員、小さな島を去り、、強制収容所に入れられる。これらの過去の回想シーンと1954年に起きた事件の発端と裁判の経過が監督のスコット・ヒックスにより巧みに操られていく。
日系人が島を去り収容所に向かうシーンでの切なさや収容所内でのハツエの結婚式。日系人は土地を所有することができなかったという当時の法律など、この映画で初めて学ぶことも多くあった。
法廷を題材にした映画なのでストーリーについてはこの辺でやめるが、ジェシカ・ラング主演「ミュージック・ボックス」やキャシー・ベイツ主演「黙秘」と合い並ぶ法廷・人間ドラマだ。

ハツエ役の工藤夕貴は好演している。「アルマゲドン」で宇宙からの襲来で壊されたビルのコンクリートにあたって死んだ松田聖子や「ゴジラ」でゴジラに襲われた漁船にいた加藤雅也とは比べ物にならないほどの重要な役だし、もちろん「将軍」に出ただけで国際女優と言われた島田陽子(今は改名したかな)とも違う。
彼女はこの映画を含めて3本のハリウッド・メジャー映画に出演するという契約を結んでいるらしいので、今後の出演策が楽しみだ。

アメリカ同時テロが起きたこの時期に何でこの映画を思い出したのか自分でも分からないが、自分の引出しが自然に開いて、この映画の記憶が出てきてしまった。
当然、ビデオ化されているので、見てもきっと損はないのでは。

原作は「殺人容疑」(講談社刊)でデビッド・グターソン著。
オフィシャル・サイトは、http://www.uipjapan.com/sfoc/
1999年作品。上映時間:127分。

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