リメンバー・ミー(同感) ネタばれ度:★★★ 2002.8.10記

実はつい最近、『タイムマシン』を見た。何だかなぁと思いつつも毎度のことながらタイム・トラベルものには評価が甘くなってしまうのでそれなりに楽しめた。

韓国のタイム・トラベルものでは『イレマーレ』がこの『リメンバー・ミー』と同時期に公開されていて、正直どちらがどちらだか最初よく分からなかった。『イルマーレ』は2年の時間差で『リメンバー・ミー』は何と21年の時間差だ。

皆既月食の夜、古びた無線機から流れ出る声に反応する女子大生ユン ソウン(キム ハヌル)。声の主はチ イン(ユ ジテ)。好奇心から話し込む2人は同じ大学の学生だということが分かり、早速翌日、待ち合わせをすることになる。しかし、時間通り約束の大学の時計台に行く2人だが会うことはできない。それもそのはず、2人の生きている時代は1979年と2000年で21年もの時間差がある。お互いにお互いの環境を理解し合うのにさほど時間がかからないあたりは韓国映画、韓国人の懐の深さなのかもしれない。
時代の違う二人は夜な夜な青春時代真っ只中でいろいろなことを話し合う。あまりにも時間差を感じさせることのない2人のやり取りに見ているほうとしては、この映画、最後はどういう落とし込みがあるの?と心配になってくるほどだ。
話が急激に展開するのは、2000年に生きるチ インの両親の名前が明らかになってからだ。彼の両親も2人と同じ大学の卒業生で父は、1979年に生きるユン ソウンが密かに恋心を抱き、その恋も実を結ぶのは時間の問題とされているチ ドンヒだった。そして母はソウンの親友のホ ソンミだった。事実を知ったソウンのショックは大きい。

運命に関係なく自分の意志を貫く生き方もあろうが、ソウンは運命を重んじて行動する。恋心を抱く相手チ ドンヒとは距離をおくようになり、成就されるはずの恋を自ら捨てる。そして、親友のホ ソンミとも友達関係を維持することをやめる。2000年に生きるチ インの存在理由こそが運命の真実と受け止めてのソウンの判断なのだろう。
画面では出てこないが、彼の両親であるチ ドンヒとホ ソンミも突然のソウンの態度については不思議だったに違いない。ソウンが態度を変えなければ2人が結びつくことはなかったのかもしれない。あるいは、ソウンが態度を変えなくても運命というものは必ずや2人を結びつけたのかもしれない。なぜなら2人の子供であるチ インは2000年に存在しているのだから。このあたりのむず痒さがタイム・パラッドクスの面白いところだ。

2000年に生きるイ チンによれば彼の両親はまだ生きているようだ。では、1979年に生きているソウンは2000年にどうしているのだろう。考えられる答えは2つしかないだろう。1つは、何らかの理由で2000年まで生きることができなかったといもの。もう1つは、2000年の世の中でもどこかに生きていて、同じ時代で2人が出会うというもの。
私としては前者を予測しながら見ていた。ネタばれ度:★3つといえど、結末に関しては書くのを控えておくことにする(何年も経ってから自分で読んで忘れていたらどうしよう)。
時間の見届け人として大学の警備のおじさんがアチコチに登場するのは愛嬌か。

ユン ソウン役を演じるキム ハヌルは元々はテレビの出身だったと思う。ハヌルとは青空という意味だが、顔立ちはどこか曇りがちで、艶やかな顔つきが多い韓国女優の中ではどこか物寂しげな感じのする女優だ。この映画の中では悲しいながらも運命を重んじた聡明な行動をとる役を演じている。相手役チ インには目下韓国若手男優の期待のユ ジテ。2枚目ではないが、どこか犬ぽい表情があり、温かみのあるキャラクターだ。
監督はチャン ジンでこの映画がデビュー作。脚本に助けられたのか演出力なのかは次回作でも見ないとまだ評価はできないであろう。
この映画は日本で『時の香り〜リメンバー・ミー〜』というタイトルでリメイクされている。ただ、こちらのほうは語るのも恥かしいほどお粗末な出来で国辱に値するほどだ。
ちなみに無線機による過去とのコミュニケーションを扱ったアメリカ映画に『オーロラの彼方へ』というのがあり、制作時期もほぼ同じ頃だ。こちらは、30年の時間差で未来の息子が過去の父親と交信することで自分の家族に関わる歴史的運命をいじってしまう。オーロラが不思議現象を引き起こす。

2000年作品。111分。


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