ソウル ネタばれ度:★☆☆ 2001.2.16記

さて困ったこの映画。映画を見る時にどんなにつまらない映画でもどこか良い部分をひとつでも探すようにしているが、この映画はなかなか手強い。

キャッチ・コピーに「ホワイトアウト」「シュリ」のスタッフが贈る新世紀フルメタル・アクション超大作誕生!とあるが、この2つを引き合いに出されてしまうと絶対に面白くないんだろうな、という先入観を持ってしまった。そして見た感想はというと、まさに「シュリ」と「ホワイトアウト」の悪い部分だけが融合された作品、ということになってしまった。
「シュリ」の雑な作りと「ホワイトアウト」の物語のつまらなさがドッキングしているのだからかなり厳しくお寂しい映画になってしまった。

アクション映画だが画面に躍動感が全くなく時間が止まっている感じがしてしまう。犯人グループと銃撃戦途中で韓国警察隊と長瀬智也演じる日本人刑事が言葉の壁の中で作戦について激論しているシーンがある。しかし、その間、時間は止まってしまっているので困ってしまう。その時の犯人側の心境としては「おい兄貴、あいつら何かゴチャゴチャもめてますよ」「そうか、じゃ、こっちもあまり本気で撃つのやめておこうか」「そうですね、今のうちに逃げるというわけにもいきませんしね」てな感じだろうか。だから漫画の実写版として見ると少しはマシなのかもしれない。

この映画を長瀬智也目当てで見に来た女の子達は長瀬智也以外で何を思うのだろうか。それはおそらく2つしかないと思う。ひとつは「ソウルってけっこう都会なのね」それと「韓国人って面倒臭そうで付き合いたくないわね」だろう。
日韓共作の映画といっても、この映画を見る限り韓国のイメージは決して良くはないだろう。長瀬刑事が韓国の礼儀や風習にてこずることによって韓国の異文化を紹介しているが、日本人には何とも厄介な人種として映ることだろう。
さらに、ボールがある場所に全員集まってしまう子供のサッカーのように韓国警察隊も犯人グループに振り回され(このグループもどう見ても巨大ではなく少数にしか見えない)、やれあっちだ、今度はこっちだとソウル市内から警察官がいなくなてしまうほどドタバタしてしまう。これも「韓国の警察、何だかなぁ」というイメージしか残らずちょっと心配になってしまった。

韓国側刑事のチェ ミンス、これが頑固者なのか心に傷を負っているのか分からないが、単なる変わり者にしか見えないところもこの映画に深みが見えてこない原因なのかもしれない。だいたいこの人「ユリョン」という映画でも頑固一徹だったし、ドラマ「愛の伝説」では優柔不断な弁護士であったりとどうもまともな性格での役を見たことがない。そしてたたずまいが暗い。韓国ではそのあたりがウケているのかもしれないが。

最後の長瀬刑事が帰国する時の空港でのシーンもお笑いを通り越して赤面してしまうほどの設定で恥かしい。通訳の女性刑事キム ジヨンは全く知らない女性だったが、彼女が抜擢された理由は、日本語ができる(たぶん本当にできるのだと思うのだが)以外にあったのだろうか。
彼女はソウル市内で犯人一味の一人に撃たれ左腕を負傷してしまう。翌日、彼女は左袖が弾丸によって破れ傷がついたままの前日と同じパンツ・スーツを着ているが、彼女は家に帰らなかったのだろうか。長瀬刑事が目撃した犯人は何で夜の公園で挑戦的な態度で現れるか。そしてその追跡時になぜ犯人一味の主犯が車で突然現れるのか。などとくだらないことばかりに気が回ってしまうのも悲しい。
72時間というソウル滞在特別許可をもらった長瀬刑事が短期間で韓国語のヒアリングを身につけてしまうのも見事だ。

ワールドカップ直前、テレビや映画で日韓共同作品や特集がたくさん企画されているが、ワールドカップ終了以降も韓国へ目を向ける傾向は続くのだろうか。聞けば1988年のソウル・オリンピックの時もその時代なりに韓国ブームが起こったらしいが終了後は潮が引くごとくブームは去ってしまったらしい。はたして今のにわか韓国ブームらしきは一過性のものなのか。


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