THE NIGHTFLY / DONALD FAGEN 2001.9.14記

ドナルド・フェイゲンを語る時にスティーリー・ダンを抜きに語ることはできない。
スティーリー・ダンは個人の名前ではない。だとしたらバンド名かとなる。バンド名とも言えるが正確にはユニットの名前だ。ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの2人によるユニットがスティーリー・ダンという名前を音楽界に残した。その形態は10CC、アラン・パーソンズ・プロジェクトなどと同じだ。

スティーリー・ダンは2人が作った楽曲を世に出す(レコード化する)ために何人もの優秀なミュージシャンを擁した。その中にはスティーリー・ダンからドゥービー・ブラザースに移って成功したジェフ・バクスターとマイケル・マクドナルドなどもいた。
フェイゲン&ベッカーの色があまりにも強いので手足としてか使われていない他のメンバーは次々に脱退し76年にはいよいよもって彼ら2人だけになってしまった。そして世間的には「いよいよスティーリー・ダンも解散か?」と存続を危ぶまれた。

意地を張ったわけでもないだろうが、2人になって初めてリリースしたアルバム「THE ROYAL SCAM」では今までの作品以上にレベルの高いものとなった。そしてついにはロック史上最高傑作とまで言われている「AJA〜彩」までリリースしてしまった。
その後に「ガウチョ」をリリースし、その才能はとどまるところを知らなかったが、この頃からいよいよもって本当に解散するのでは?という噂が再浮上した。(結局この噂は本当になるのだが)

この噂のさなかにレコーディングされリリースされたのが、この「NIGHTFLY」だ。全8曲の作品だが出来は最高レベルのものに仕上がっている。
ちょうどAOR(アダルト・オリエンティッド・ロック)という言葉が世の流行に乗っており、その言葉もフェイゲンのアルバムを後押しした。
ジャズ、フュージョンのテイストをふんだんにスパイスしたこのアルバムはスティーリー・ダン時代の作品以上に評価された。
このアルバムは、どんなシチュエーションにも合うというまったくもって便利なアルバムだ。都会の夜にも、静かな海にも、車一台見つけることもできない山道でもOK。一人でも、二人でも、雨の日も、晴れの日もOK。まさに全天候型のアルバムだ。そして何よりも相当、H(エッチ)ぽいアルバムだ。

世の中殺伐としてくると「癒し系」なる言葉が重宝されるが、このアルバムは「癒し系」などという安直な言葉では語れないほど、精神的に落ち着くアルバムだし、同時に元気も出てくるアルバムだ。このアルバムを聴かないで人生を終えることは大きな損失なのではないだろうか。大袈裟ではなく、本当にそう思っている。


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