地球的病気 / The d.e.p 2001.6.9記

ホント、何年ぶりだろう。新譜を聴いて「コレだ!」と納得できて感動もできるアルバムを聴いたのは。
ニュー・バンド、The d.e.p(以下dep)のメンバーは元四人囃子、元PLASTICSの佐久間正英、元一風堂、元JAPANの土屋昌巳、元MELON、SOULUSOUL、SIMPLY REDの屋敷豪太、元JAPANのミック・カーン、そしてビビアン・スーの5人。彼らがどういういきさつでこのユニットを結成するにいたったかは全く知らないし、アルバムが発売されることすら知らなかった。そのせいもあって全く新鮮な気持ちでアルバムを聴くことができた。といっても、メンバーを見る限りそこから想像できることは「ブリティッシュ・ロック」「退廃」「プログレ」「アバンギャルド」といった感じの音ではないかということだった。

そして聴いたアルバムは最高級に上質な80年代のブリティッシュ・ロックのテイストを持った21世紀のサウンドだった。
収録曲は全部で10曲。収録時間は42分弱。この42分という短い収録時間にもこだわりを感じることができる。近頃のミュージシャンのアルバムはクズみたいな曲を詰め込んで70分近く収録されているアルバムがほとんどだ。しかも○○バージョン、△△リミックスなどと称してやたら1曲の時間が長かったりもする。しかし、depのアルバムは平均して4分足らずの曲が10曲収録されているだけだがそこにはデビュー・アルバムながら確固たるdepサウンドが存在している。

まず、ビビアン・スーがボーカルと全ての歌詞を担当している。彼女の詞は英語、日本語、北京語のミックスだ。彼女のボーカルはブラック・ビスケッツや台湾でのソロとは全く違い、ひとつの楽器的な位置といえる。3ヶ国語でミックスされた歌詞をメロディー楽器のように歌いこなしている。よく引用として用いるのだがマリアンヌ・フェイスフル、ニコ、あるいはヴァージニア・アストレイのようにも聴こえるがやはりビビアンの新しいボーカル・スタイルというのが一番正しいような気がする。
ギターの土屋昌巳は久しぶりに健在ぶりを披露してくれる。本人は嫌うのかもしれないが、エイドリアン・ブリュー並みのアバンギャルドなギター・ワークがdepサウンドの空気を作っている。昔からギターのボリューム・コントロールが天才的に上手い人だったが、depでもそのテクニックが曲のメリハリを大きくしている。
ミック・カーンのベースはJAPAN時代と全く違って完璧にリズム隊としての役目を果たしている。しかし、ベースの音色、質を耳を凝らして聴けばそこにはやはりミック・カーンの姿を発見することができる。
屋敷豪太のドラムはもう説明することもなくタイトでかつ重たさもある彼独特のドラミングである。
全ての作曲とキーボードを始めサウンドの要というか統括しているのはやはり佐久間正英。PLASTICSに在籍していたことや最近のGLAYやHysteric Blueなどのプロデュース作業や今回のユニット結成などをみると、彼がどういう理由で70年代に四人囃子にいたのか実は不思議だった。しかし、depを聴くと基本的にはプログレが好きな人だったんだということが分かってしまうところも面白い。

このアルバムのジャケット・デザインも素晴らしく、自分好みのアート・ディレクションに出会えたのも嬉しい。そして何よりもブリティッシュ・ロックらしいロック・アルバムに久しぶりに出会えたことがとても嬉しい。
音楽好きで本当に良かった。ブリティッシュ・ロック万歳!!

ちなみにバンド名の「The d.e.p」は、The doggie eels projectの略でウナギイヌ・プロジェクトのことらしい。


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