Love and Menace / DONAGGIO-DePALMA 2001.1.5記

映画「ミッション・インポシブル」で一気にメジャー監督になったブライアン・デ・パルマ監督。一番影響を受けた映画監督はアルフレッド・ヒッチコックとインタビューで公言するほどのヒッチコク・フリークらしい。そのせいもあって彼の初期の映画はかなりヒッチコックの手法を取り入れたものが多い。(「愛のメモリー」「殺しのドレス」「ボディ・ダブル」なんか)映画批評家からもヒッチコックのコピー、と酷評を受けるも少しもめげずにヒッチコック大好きの道を進んでいる。

映像の手法だけでなく、サウンド・トラックに関する考え方もヒッチコックの影響を受けているようだ。
ヒッチコック映画で音楽パートナーを何作も務めたのがバーナード・ハーマン。ハーマンの音楽がヒッチコック映画をある意味でストーリー・リードしていたといっても過言ではないかもしれない。
デ・パルマはバーナード・ハーマンを自分の映画でニ度起用したことがある。73年の「悪魔のシスター」と76年の「愛のメモリー」だ。2本の映画はかなり面白いのだが、音楽的には印象に残る部分があまりない。想像だが、当時ヒット作品のなかったデ・パルマはハーマンに対してあまり強気な意見や要望を出せなかったのかもしれない。それほど当時のハーマンは映画音楽では巨匠だった。

そしてヒッチコック、ハーマンのように自分にもパートナーが必要だと考えた。かどうかは定かではないがイタリアの音楽家、ピノ・ドナッジョと出会う。
そして、この出会いは初期のデ・パルマの最大のヒット作品「キャリー」を生み出す。
その後、「悪魔のファミリー」を経て「殺しのドレス」「ミッドナイト・クロス」「ボディ・ダブル」と立て続けにこのコンビはヒット映画を世に出していく。

今回紹介するアルバムはデ・パルマとドナッジョのコラボレーションともいえる映画のサントラ、ベスト盤だ。
収録曲は「キャリー」「悪魔のファミリー」「殺しのドレス」「ミッドナイト・クロス」「ボディ・ダブル」の5作品の中からの抜粋だ。ドナッジョの流れるようなストリングス・アレンジは映画を見た人には音楽が流れていたシーンをすぐさま思い出させてくれるし、見ていない人にもどのようなシーンなのだろうかという興味を抱かせてくれる。
「キャリー」でキャリーがクイーンに選ばれてその後一転する場面。「殺しのドレス」の美術館内での男と女の追跡ゲームの場面。「ミッドナイト・クロス」のスローモーション花火の場面など、思い出深いシーンが蘇えって来る。

今や巨匠の部類に入ってしまったブライアン・デ・パルマ監督だが、一番冒険心にとんでいた70年代をこのアルバムによって振り返るのも面白いかもしれない。
ちなみに「悪魔のファミリー」の原題は「HOME MOVIES」、「ミッドナイト・クロス」は「BLOW OUT」である。


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