GRAND FUNK RAILROAD <1971/7/17 at 後楽園球場> 2000.2.11記

グランド・ファンク(以下GFR)の当時の日本での紹介のされ方は、世界で一番音が大きいバンド。LED ZEPPELINの前座をやり大アンコールでZEPPELINの出番がなくなった。など、勇ましいものばかりだった。デビュー・アルバムと2ndアルバムを聴くかぎりでは、それほどハードな印象を受けなかったが、3rdアルバムとして発売された2枚組ライブアルバムで噂は本当かもしれないと、興味は最大限にアップした記憶がある。それほど、このライブアルバムのできは素晴らしいものだった。

そして、いよいよそのライブに触れるチャンスがやってきた。1971年は2月にBS&T、4月にFREE、6月にはCHICAGOが来日していて、日本のロック元年と呼べるような年であった。GFR来日後はPINK FLOYD、LED ZEPPELINも来日するわけだからまさにロック元年であったのだと思われる。
そのGFRの来日コンサートは、なんと後楽園球場で行われるとあって、期待はますます高まった。
今でこそスタジアムでのコンサートは当たり前であるが、GFRの後楽園球場コンサートは史上初といえるものだったと思う。なにしろ、あのBEATLESでさえ、武道館だったし、GFRの後に来日するLED ZEPPELINも武道館でのコンサートだったのだから、GFRのすごさが分かると思う。
ちなみに当時のスタジアム・コンサートはスタンド席のみで、現在のようにアリーナ席はなかった。ステージは、セカンド・ベース近辺に作られたので、客席まではかなりの距離があり、今考えるとおおよそ間抜けな感じもするが、当時としては画期的だったのだ。

当日は、前座として、日本の女性ロック・シンガー、麻生レミとカナダのロック・バンド、マッシュマッカーン(ちょうど一発ヒットの「霧の中の二人」というのがタイムリーに流行っていた)がGFRを盛りあげる?はずだった。
しかし、実際にGFRを盛りあげたのは、前座の2組ではなく、自然の気象状況だった。星さえ見えていた空が、マッシュマッカーンの最後の曲あたりで、急に暗雲が立ち込めてきたのだ。そして、マッシュマッカーンの曲が終わる頃には、雷をともなった豪雨となってしまった。
本来であれば、20分程度のインターバルでGFRがヘリコプターで登場。というような演出が考えられていたようだが、30分、40分たっても、GFRは出てこない。そうこうしているうちに、会場内に、中止の噂が流れ始め、にわかに客席が騒がしくなってきた。それまで緊張感のなかった報道陣にやっと活気が出てきて、観客をカメラに収めたりし始める。
そして、1時間を経過した頃、「暴動」という雰囲気が客席に伝わってくる。なんでも、入れない客1200人がゲートをこじ開け侵入しようとしているという話が伝わってくる。イヤ〜な雰囲気が立ち込めてきた時、場内に当時の人気DJ、糸居五郎の声でアナウンスが流れる。「皆さん、グランド・ファンクは必ず、演奏をやると言っています。もうしばらく待ってください」もうこれで場内は一気にヒート・アップ。映画「ウッド・ストック」の一場面のようにどこからともなく「No Rain、No Rain」の声が聞こえ、スタジアム中に伝染し、大合唱となる。

マッシュマッカーンの演奏終了後、1時間半が経過。雨は全く降りやむ様子はないが、ついにGFRの登場となる。1塁側ダッグアウトから見慣れた3人が出てくる、マーク・ファーナーはすでに上半身裸で登場。ドン・ブリュワーはアフロ・ヘアーで長身。メル・サッチャーは思ったより華奢な感じだ。
耳をつんざく、とまではいかなかったが、雰囲気的にはじゅうぶんそんな感じに思えてしまうほどの自然現象による演出効果であった。
演奏は、ライブ・アルバムと全く同じ構成で進んでいく。オープニングは「Are You Ready?」、ハイライトはやはり「Heartbreaker」。会場全体で「ハートブレイカー」の大合唱。そして最後の曲、アニマルズのカバー曲「孤独の叫び」で興奮は最高潮となる。
演奏時間は1時間10分と短かった。しかし、誰一人、不満もらす者はいなかったと思う。たぶん初めてロックの洗礼を受けたとような感じがしたのではないだろうか。

翌日、スポーツ紙はもちろん、一般新聞でもコンサートは騒動として報道された。もし、天気がよくて普通にコンサートが行なわれていたとしたら、GFRのコンサートはそんなに一般レベルまで話題にならなかったかもしれない。
結果的にGFRはロック・ファンだけではなく社会をも巻き込んだコンサートを行ったことになったのではないだろうか。
後日談として、その日のコンサートは、感電の恐れがあったので、全てテープによるものだったというようなことが噂になったが、このコンサートに参加した者にとっては、そんなことはどうでもよいことだった。

演奏曲目:

-アー・ユー・レディ
-パラノイド
-イン・ニード
-ハートブレイカー
-マーク・セズ・オーライト
-T・N・U・C
-孤独の叫び
今思えば、TAPEだったような気もしないではない。
写真提供:70's Rock 秘蔵写真館 rare pic.

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