KOYOTE3 / KOYOTE 2001.10.6記

HIP HOP、R&B、DANCEが中心に様変わりした20世紀終わりから21世紀にかけての韓国音楽シーン。猫も杓子もRAPを取り入れ、雨後の竹の子のように次から次へと新人が誕生しては消えていくという現象が続いているようだ。
そんな中で3rd.アルバムのリリースまでこぎつけたこのKOYOTE(コヨーテ)は韓国音楽シーンの代表になったと言えるのかもしれない。

そんな彼らの3rd.アルバム「3集」(韓国では特にアルバム名がついていないことのほうが多い)は間違いなく彼らの代表アルバムになるといえるだろう。
KOYOTEの音楽的特長は何といっても女性ボーカル、シンジの声だろう。甲高い声だが意外にうるさくない。そして歌声はパワフルでもあり繊細でもある。その声は哀愁すら帯びているのでリズムのあるダンス・ナンバーもどこか哀しげである。ビートものを歌っても哀愁がある。これはボーカリストとしてはかなり恵まれた才能で、そうそう誰でも持ち合わせているものではない。
一番分かりやすいところでいえばロッド・スチュワートなどはその代表的な例かもしれない。
このアルバムからのシングル・ヒット(といっても韓国にシングルの概念はないのだが)は「PASSION」と「波瀾」。この2曲のクオリティーは曲調、アレンジともかなり優れものだ。ただ残念ながら2曲収められているバラードはどう贔屓目にみてもいただけない。KOYOTEの真髄はダンス・ナンバーにあるということなのだろう。

この3集への参加メンバーは、先のボーカルのシンジ、ラッパーのキムグー、それに3集から参加したキム ジョンミンの3人。もともとのメンバーはシンジ、キムグーに加えてチャ スンミンだったがスンミン脱退後、キム ジョンミンが加わった。
しかし、このキム ジョンミンの参加はKOYOTEの活動にとってマイナスはあったもののプラスになることは全くなかった言えるだろう。
このキム ジョンミン、もともとはFRIENDSというダンス・チームにいたらしいが、KOYOTEでの「決められた型」でのダンスというものを全く理解していない。更につらいのがルックス。加えてステージでのパフォーマンスが演歌歌手のようでありスピード感が全くない。いったい何が良くて加入させたのかも分からない。

と思っていたら、キム ジョンミンがグループを脱退した(辞めさせられた)というニュースがあり、今後のKOYOTEの存在すら危ぶまれる話まで一時的に出た。シンジとキムグーの2人で存続、あるいはシンジがソロに転向するという話まで出ていたようだ。結局のところ2人で次回作4集の制作を終えたということで今後は2人組になるとばかり思っていた。
ところが今度はキム ジョンミンが復帰するということになったようだ。レコーディングに参加していないであろう彼がどのような形で新作の活動に入るのか、いろいろな意味で楽しみである。

これに加えて韓国ポップス・シーンの面白いエピソードが入ってきた。女の子3人組のグループが実はレコーディングで歌っておらずレコード・デビューを果たしたというのだ。
韓国で問題視して話題になっていたようだが、この下地は韓国の音楽シーンには当たり前のようにあったと思われる。韓国エンタのページでも書いたが、韓国での音楽活動、とりわけ人前までのパフォーマンスは90%以上がリップ・シンク(クチパク)だ。やろうと思えば生で歌う状況を避けようと思えば簡単に避けられる。だからスタジオ・ミュージシャンに歌わせてデビューし、クチパクで活動を続けることもさほど難しいことではないだろう。
KOYOTEの次回作4集におけるキム ジョンミンも先の女の子3人組と大きく違わないということだ。

このように何かとメンバー構成が落ち着かないKOYOTEだが、今回取り上げた3集は全てを割り引いてもクオリティーの高いアルバムであることは確かな事実だ。
クチパク全盛の中、一度だけテレビのライブで生歌で歌っているKOYOTEを見たことがある。本当の意味でのライブに慣れていないせいか、顔に余裕もなく危なっかしいライブだったが、KOYOTEの存在感はじゅうぶんに発揮していた。
今後このグループがどのような道を歩むのか全く予想もできないが、3集という素晴らしいアルバムを残したことだけは韓国音楽シーンの歴史に残るだろう。
そして韓国音楽に興味を持ったことで、素晴らしいアルバムに出会えたことは私の音楽ライフにとっても大変ラッキーだったと言える。


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