Lee Ji Yun / イ ジヨン 2000.5.18記

全く知らないアーティストを教えてもらい、そのアーティストが自分の好みだったりすることが一番、音楽が好きで良かったなぁ、と思う時です。
このイジヨンも私の中では全く存在すらしないシンガーでした。私のホームページの掲示板で常連で書き込みいただいているMorris.さんより話題にあがり、気にはなっていたものでした。同じく常連のすいるさんがイジヨン来日のおりに通訳をやったという事実が判明するにいたって、もうこれはどうしても聴いてみたいという衝動にかられました。1989年頃のレコードなのでどうしたものかと思っていた矢先に紹介者でもあり、熱烈なファンでもあるMorris.さんから音源が届くという嬉しいハプニングがあり、いよいよ耳にすることができました。

アルバムは18曲が収録されているところから見ると、Morris.さん解説によるところの1st.2nd.アルバムを合体させた物なのかもしれません。
アルバムを聴いてまず大変新鮮な音楽だという印象を受けました。というのは最近のKOREAN POPSと違って、青筋を立てて熱唱するような攻撃性のシンガーではないからです。ユーロ・ビート、テクノ・ビート全盛のKOREAN POPSから入門した私にはちょっとした驚きでした。

誰それのよう・・・という表現は好きではないし、アーティストに失礼だと思うんです。
しかし、今回イジヨンを紹介するにあったっては、それらの表現を使う方が分かりやすいかもしれないので、あえてそうしてみます。
1曲目の「クフロン(その後では)」を始め、彼女の歌声は透明感がありながら存在感もあるという不思議なものです。ある曲では、オリビア・ニュートン・ジョン、ある曲ではベルベット・アンダーグランドのニコのよう、スザンヌ・ヴェガのようでもあり、今井美樹のようでもある。というようにいろいろなイジヨンが存在します。音楽ファンでない方には、分かりにくい例えですが、もしかすると彼女はKOREAN POPS界において貴重な存在なのかもしれません。
私の韓国音楽事情の印象は、日本と比べると歌唱力がないと通用しないということがあります。その点、彼女は特別に歌唱力があるとは言い難いのですが、これだけ情景を思い浮かべることができるシンガーは韓国にはいないかもしれません。(もちろん、韓国のシンガーのことを全て知っていて言うのではありませんが)雨の日に家で聴くも良し、晴れの日に車の中で聴くも良し、まさに全天候型のシンガーと言えます。ビートルズの歌ではありませんが、空が青すぎて哀しい・・・そんな感じもするような歌い方です。
Morris.さんの話では、3rdアルバムをリリースした後、マネージャーと逃避行などのスキャンダルで表舞台から消え、数年後にカムバックするも泣かず飛ばず、今は人知れず、場末で歌っているとかの話もあるようです。
そんな話を聞きながら、アルバム・カバーの写真を見ると、どこか憂いのある薄幸な歌姫という感じがしてきます。

韓国にもアンニュイな(古い!)シンガーいる。ということを知って、ますますKOREAN POPSに注目しなくてはならなくなりました。
素敵なシンガーを紹介してくれた「Morris.」さん、そして、更なる興味を持たせてくれた「すいる」さんに深く感謝し、お礼を申し上げます。ありがとうございました。


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