WISH YOU WERE HERE / PINK FLOYD 2001.2.2記

ピンク・フロイドはいつの時代も自分の傍に居続けているバンドだ。メンバーの容姿については特に語るほどでもないし、むしろ悪いほうだろう。サイケデリック・サウンドという呼び名でデビューした彼らは後にプログレッシブ・ロックと言われるようになり、そのカテゴリーの代表バンドとなった。21世紀になっても活動は続けているみたいだが、日本での公演は1980年代の終わりごろを最後に実現していない。なかなか見る機会はないかもしれないが、一度ぐらいは彼らのライブを体験してみるのも悪くないだろう。ロックのコンサートのまた違う一面を見ることができるかもしれない。

この「WISH YOU WERE HERE」は日本では1975年に邦題「炎(あなたがそこにいてほしい)」として発売された。リリースされたのが75年の何月だったのか、はっきりと覚えていない。ただ、自分としてはこのアルバムには冬のイメージを強く持っている。
「音楽は歴史のモノサシ」が私の持論なのだが、このアルバムを聴くたびに1975年の冬の下北沢の街並みが浮かんでくる。一緒に遊んでいた友人の顔も見事なまでに甦ってくるから面白い。きっと誰にでもこのようなアルバムってあるのでないだろうか。

このアルバムのメインとなるのはオープニングとエンディングとに分かれている「Shine On You Crazy Diamond」という曲だ。この曲はいまだにピンク・フロイドのコンサートのオープニングを飾ることが多い。この曲は元メンバーだったシド・バレットのことを歌った曲としても有名だった。彼がどのような理由でバンドを脱退したのかは不明だが、タイトルから見るかぎりピンク・フロイドに大きな影響を与えた才能あるメンバーだったのだろう。
ちなみにこの曲は2001年秋のドラマ「水曜日の情事」でも石田ひかり演ずる操(みさお)の狂気?恐さを表す場面でも使われていたりもした。

アルバム・カバーは、ピンク・フロイドとは切ってもきれない関係であったアート集団のヒプノシス。彼らはピンク・フロイドのアルバム・カバーのほとんどを手がけていたし、その作品は発売のたびに意図を問われるようなデザインだった。
背中を炎に包まれながらビジネス握手をするこのアルバム・カバーの意味をあれやこれやと論じていた当時の音楽雑誌も今では懐かしい。「あなたがそこにいてほしい」つまり、そこに現実にはいない人との関わりを表現しているということのようだ。と書いても私自身、意味については全くよくわかっていないのである。
今に思えば、裸の王様のようにピンク・フロイド&ヒプノシスの単なるお遊びにマスコミや我々がただ躍らせられていただけなのかもしれない。

75年発売のこのアルバム、2002年の今からすると約20年前の作品だ。驚くことに少しも色あせていない。それどころかロックが持つエネルギーのようなものを感じることができる。それもビート、ガンガンのエネルギーのではなく、内に秘められた骨太なエネルギー、パワーを感じることができる。
2002年は国会を見るまでもなく、社会も混乱のスタートを切った。こんなアルバムを聴いてパワーを内蓄し、心を洗ってみるのも良いかもしれない。


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