BACK ON THE BLOCK / QUINCY JONES 2000.7.27記

1989年にリリースされたクインシー・ジョーンズのこのアルバムに参加したミュージシャンは、レイ・チャールズ、チャカ・カーン、TAKE6、エラ・フィッツジェラルド、アル・ジャロウ、ジョージ・ベンスン、マイルス・テイヴィス、ジョージ・デューク、ハービー・ハンコック、テヴィン・キャンベル、バリー・ホワイトなどなど超豪華絢爛。
そう、このアルバムはクインシー・ジョーンズの80年代の仕事総決算的なアルバムだ。クインシーの才能を引き出すために豪華なミュージシャンがバック・アップしてくれている。

このアルバムは世界の音楽シーンにおいて微妙な時期でのリリースだった。89年というこの時期にアルバムをリリースしたことは80年代の総括という意味の他にもう一つの意味があったかもしれない。
それは、オリジナル楽器での生音とシンセサイザーでの擬似音の境目となる時期がちょうどこの頃だったからだ。
この時期以降の音楽はシンセサイザーとコンピュータによるサンプリングが中心となってくる。そうギターがなくてもギターの音を出せる。ストリングスがなくてもストリングスの音が出せる。そんな時期に完全突入する直前が89年の頃だった。
クインシーはこのアルバムで生音とサンプリングを見事に調和させている。どの音が生音なのか、サンプリングの音なのか、全く分らない。ややもすると無機質になりがちなサウンドを超豪華なゲスト・ミュージシャンの参加により調和をとっている。

アレンジの方も完璧だ。コンピュータ音楽の最大の欠点はアレンジにある。どのような音をも再現できるのでアレンジャーは面白いように音を埋めていく。まるで土蔵を作るように壁を中心に塗りこめていくような手法なので風通しがよくない。
クインシーのアレンジは柱や鴨居、敷居をちゃんと作って、全体感を見ながら家を建ていくような日本建築のような手法で風通し、住み心地を配慮したものだ。だから聴いていて心地よい。

アルバムの内容は、80年代音楽の全てエッセンスが散りばめられている。ジャズあり、バラードあり、アカペラあり、ラップあり、R&Bありでバラエティに富んでいる。
ボーカルや楽器の演奏の仕方を聴いて、誰なのか探り当てるだけでも面白い。
このアルバムをミレニアムの今聴いても少しも古い感じがしないのは、クインシーの才能のすごさもだが、90年代は意外に音楽という面では個性を残していなかったのでは?と考えさせられもしてくる。
このアルバムをご存知ない方は、絶対に聴く価値があるのでお薦めする。ドライブ・ミュージックとしてもかなりのお薦めだ。


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