ALIENS ATE MY BUICK / THOMAS DOLBY 2003.4.5記

トーマス・ドルビー・・・久しく聞かなかったし記憶から消えていた名前だった。2003年2月に香港に旅行した時にHMVに立ち寄った。というよりも宿泊したホテルのすぐ近くにあったので毎日通っていたのだが。
アジアらしいお茶目なCDを見て楽しんでいた時に目に入ってきたのがトーマス・ドルビーという名前だった。いやぁ懐かしい。

この『ALIENS ATE MY BUICK』というアルバムは1988年のリリースで日本はちょうどバブル最盛期だったと記憶している。私自身は特にバブルの恩恵もなかったが強いて言うのであれば今よりも多くのCDを買っていたように思う(淋しいバブルだ)。
この時期はYMOから始まった80年代テクノ音楽の終焉のようだった頃だ。ただピコピコしているだけのサウンドでは売れない時期であり、ディーヴォ、クラフトワーク、アート・オブ・ノイズなどが消えかかっていた頃でもあった。
このトーマス・ドルビーはというと特に大ブレイクした時期があったわけでもない。しかし、これより前にリリースした『HYPER ACTIVE』とうアルバムタイトルからも分かる通りセンスの良さも持ち備えていたが「変な奴」という印象も持っていた。『ALIENS ATE MY BUICK』という人を食ったようなアルバム・タイトルとアルバム・カバーだけで「このCD面白そう」と興味を持たせてしまうのがトーマス・ドルビーらしいところだ。

アルバムの中身はというと、はっきり言って無節操のオン・パレードだ。オープニングからジャズ風あり、70年代ディスコ風あり、FUNK風あり、プログレ風ありとまさにごった煮状態。中でも圧巻なのは7曲目『Budapest By Blimp』のアバンギャルドさだ。この曲のうねりのような音の渦はロック史上に残るべきスリリングなサウンドなのにアーティストの知名度のせいか、あまり語られたことはない。
無節操のオンパレード・・・実はこれ、ある意味パロディなのかもしれない。世の中に存在するサウンドはだいたいこんな風でしたよね?と既成のサウンドに対する挑戦なのかもしれない。
出来上がったサウンドはすべてどこかで聴いたことのあるような音に仕上がっているが、その挑戦は見事なまでに成功したと言って良いのだろう。

坂本龍一のビデオ・クリップでお間抜けなスナイパー役を演じていたトーマス・ドルビーの姿こそが彼の音楽に対する姿勢(真剣のようで真剣でないというような)のように思えてしまう。
かなり、極太のアルバムである。


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