THERE'S THE RUB / WISHBONE ASH 2000.02.13記

ウィシュボーン・アッシュの1974年のアルバムです。
ギター・バンドは数多くあれど、ついつい忘れられがちなのがウィシュボーン・アッシュです。とりたててビッグ・セールスしたアルバムがないことと、日本の場合はレコード会社の力が弱かったことがさほど認知されなかった理由だと思います。

彼らのアルバムの中で抜群に水準の高いアルバムはこの「THERE'S THE RUB」です。アルバム・カバーは天才アート集団のヒプノシスが担当しています。アルバムは全6曲で収録時間は45分。
どれもこれもツイン・ギターの音色、フレーズがいいし、歌のハーモニー、メロディーも素晴らしい曲ばかりです。オープンニングから最後の曲まで一気に聴いてこそ、このアルバムの持ち味が出るという意味ではアナログ盤よりCDの方が良いという感じがします。
イギリス出身のアーティストの歌声は、ロッド・スチュワートを筆頭に「哀愁」をおびているのが多いのですが、ウィシュボーン・アッシュのボーカル兼ベースのマーティン・ターナーの声もじゅうぶん哀愁をおびており、聴く者の気持ちによっては、悲しくせつなく聞こえる曲も少なくありません。しかも、そこにユニゾンを多用したツイン・ギターの音色ときては、涙がちょちょぎれんばかりです。
哀愁の歌声にギターの音色、とくればダイア・ストレイツのマーク・ノップラーを思い出す人も多いかもしれませんが、彼の場合は、バンドとは名ばかりで、本人以外のメンバーは彼のバック・アップ・メンバーとしての役割しか果たしていないので、バンドとは呼びがたいものでした。その点、ウィシュボーン・アッシュはメンバー・チェンジがあったもののバンドとして最後までツイン・ギター・サウンドを追求していた点で大きく評価されるでしょう。
ギター・サウンドへのこだわりが出ている曲として、このアルバムのラスト・チューン「F・U・B・B」があります。約11分のこの曲はボーカルなしでのインストゥルメンタル曲です。当時ボーカルを入れないという試みはプログレッシブ系のバンド以外では大変めずらしいもので、ここにもウィッシュボーン・アッシュのこだわりと自信が感じられます。

このアルバムは、家で聴くのも良し、外で聴くのも良しの全天候型のアルバムですが、ドライブ中に(特に高速道路を運転中)聴く時は要注意です。あまりのギター・サウンドの気持ちよさにスピード・オーバーをしてしまうからです。それほどこのアルバムは聴いていて気持ちの良いものです。


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