インターネットで募金 2001.7.7記

5月の中旬に知り合いのページに書いてあった記事に目が止まった。韓国にイレちゃんという2才の男児がいて骨髄性白血病で骨髄移植を受けるのだが家庭の事情などもあり移植が困難であるというものだった。記事によると適合ドナーはすでに見つかっており(日本人女性とのこと)あとは金銭的な問題(500万円不足とのこと)と時間の問題(6月中に手術しないとイレちゃんの命は危ないと)であるとのことだった。

そしてイレちゃんを助けるためにお金を集めようと日本人女性が募金運動を開始した。彼女はソウル在住の方でSEOUL NAVIという韓国関連のサイトを主宰する会社に勤務しているようだ。

私は募金の類には縁がない。お金の流れが不明瞭で今イチ好きじゃなかった。だから小学生の頃も赤い羽根募金などしたことなかった。ボランティアという言葉にも抵抗があって積極的に参加したことがない。だから今回のこの呼びかけにも戸惑いのほうが大きかった。
ただ、小さな命がお金と時間という制約で左右されるのかと思うとちょっといたたまれない気持ちになった。そして、自分の愚ページのTOPで紹介するとともにネットで仲良くさせてもらっているお仲間の掲示板などに自分のTOPページを見てくれるように書き込みをさせてもらった。ここまでの行動は思いつきでの勢いだった。

そして自分の友人・知人のネットワークを使えば目標金額を達成することはそう難しくないようにも思えた。
ここで初めて冷静な気持ちになった。自分が呼びかけをした時に友人・知人が疑問に思うことや質問に自分自身がどの程度答えることができるだろうと考えた。するとあまりに情報量が少ないことに気づいた。

  ■ お金の準備がなくてもドナー探しはできるものなのか。
  ■ なるべく早くというけど、いつを目標にお金を集めるのか。
  ■ 目標金額に達成できなかった場合はどうするのか。
  ■ 500万円足りないというが結果的に400万円集まって100万円足りない場合、韓国では手術して
    もらえないのか。
  ■ 逆にお金が多く集まった場合はどうするのか。
  ■ 地元韓国ではどういう活動をしているのか。

など、自分が呼びかけをされる立場で考えつく疑問だけでもたくさんあることに気づいた。韓国にお住まいの方たちにもこの件での問い合わせをしてみた。
そして、それらの疑問について自分では何ひとつ答えることができないことにも気づいた。
その結果、自分としては積極的に周りの人を巻き込むことはできないと判断して、この募金運動が行われている事実を知らせることのみ(しかも期間限定で)のお手伝いするにとどまった。そしてメールや掲示板で書き込みさせてもらったお仲間には自分の気持ちをお伝えした。

その後、募金運動は大きな輪となって広がり、各メディアなどでも取り上げられたようで目標金額も大きく上回り、1000万円以上の善意の募金が集まったようだ。
早い時期で目標の500万円は達成できたようなので、イレちゃんは無事手術も終わったのだろうと思って、久しぶりにオフィシャル・サイトを覗きにいって驚いた。
何と手術はまだしていないし、あげくの果てに適合ドナーについても探し直しと書いてあった。
6月中に手術しないと命が危ない。適合ドナーもいるのであとは手術費用のみ。と言っていたのは何だったのだろう。

善意で募金された方たちの前向きな発言が今でも掲示板には書かれていた。「諦めないで頑張りましょう」「きっと良い結果が出ますよ」など様々だ。
これらの善意ある人たちに対して募金呼びかけ者はもっと丁寧な説明をするのが使命だと思うのだが、残念ながら呼びかけ者は客観的な立場でいるようだ。この呼びかけ者も心優しい善意から事を起こしたのだろうがちょっとホスピタリティがなさすぎるように感じる。「善意」や「ボランティア」という言葉で全てが解決できるわけでもないし、人に呼びかけてお金を集めることの重さをもっと認識すべきであろう。

今後、この募金活動がどのような終わり方をするのか分からないし、イレちゃんにどのような運命が待ち受けているのか想像もつかない。
ただ、今回分かったことは、インターネットを使う募金は他の対面募金などよりももっと細かい心づかいが必要だということ。
インターネットは即効性があり便利だ。しかし、使う人の気持ち、志しひとつでどのようにも化ける可能性を含んでいるので考えようによっては恐ろしい便利グッズでもあるわけだ。

■ 2001.10.28追記:

イレちゃんは、けっきょく移植を受けることなく2001年10月28日午前8時48分他界した。


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