知的所有権の温度差 2004.5.30記

欧米諸国のエンターテイメント界での知的所有権の意識とアジア諸国のそれとは著しく違う。日本が属するアジア圏内の国々の中でも意識はかなり違う。そして日本国内においても各レコード会社、各プロダクション、各テレビ局によって意識はだいぶ違う。この温度差はそのまま文化レベルの高さ低さに比例するというのが持論だ。

日本もほんの少し前までは、知的所有権という言葉さえあまり聞き慣れないものだった。人気タレント生写真が原宿竹下通りで堂々と売られていたり、レンタルCD、カラオケ店の著作権使用料の曖昧さなどはその典型的な例といえるだろう。そんな知的所有権幼稚園児のままインターネット時代を迎えてしまったのが日本のエンターテイメント界だ。
インターネットで所属タレントの写真などが無断使用されることでさすがに各プロダクションも対策を講じてはいるが、足並みはなかなか揃わない。それがそのまま温度差になっている。

SMAPやTOKIOを擁するジャニーズ事務所は日本のエンターテイメント界ではかなり知的所有権、中でも肖像権についてはかなり神経質になっているようだ。所属タレントを守るためにかなり努力をしている姿には感心させられる。しかし、悲しいかな温度差があるのも事実だ。
2003年と2004年、NHKの大河ドラマにジャニーズ事務所のタレントが出演している。TOKIOの松岡昌宏とSMAPの香取慎吾だ。最近のテレビドラマはテレビ局のオフィシャルサイトで事前のプロモーションや放送後のアフターケアをするのが常となっている。NHKの大河ドラマも同様でオフィシャルサイトには放送スケジュールやストーリーの概要、そして出演者の紹介などが載っている。この出演者の紹介には、出演者の写真が当然掲載されているが、ジャニーズの2人の写真は載っていない。2003年の松岡昌宏はテキストのみ。2004年の香取慎吾はシルエットのみだ。他の出演者は全員写真が使用されているのにだ。

スカパーなどで民放各局は自局の古い番組を使って編成を組んでいる。そしてそれを視聴者に有償で提供している。その古い番組の中には当然テレビドラマが含まれている。ここで問題になってくるのが、地上波でドラマ出演したタレントのギャラに2次使用以降のギャラが含まれているかどうかという点だ。2次使用以降には地上波での再放送、ビデオ化、他波での有料放送などがある。これらの使用についてのギャラが出演契約に含まれているかが大きな問題になってくる。最近のドラマ出演に関しては契約が交わされていると思うが、まだ知的所有権など未開の時代の作品はスンナリ交渉が進まないことも多いのではないだろうか。

スカパーのフジテレビ・チャンネルで『古畑任三郎』シリーズを放送していた。ところが全放送分の中で1話だけ放送されない回がある。それは、やはりジャニーズ事務所のタレントが出演しているものだった。木村拓哉だ・・・。これとて、恐らく契約上の問題なのだと思う。
この『古畑任三郎』シリーズは世に言うところの大物役者が出演者に名前を連ねている。その大物役者が全員2次使用の放送に出演しているのに木村拓哉の回だけが抜けている。
自社が抱えるタレントの権利を守るという点で、ジャニーズ事務所の判断は明らかに正しい。もっと言えば、他の出演者の事務所なりの判断が甘いというのが正直な思いだ。
ただ、ここまで他の事務所との温度差が生じてしまうと、ジャニーズ事務所の判断の正当性が歪められてしまうのも事実だ。

知的所有権の判断は難しく、まさに臨機応変。生ものの法律ゆえ、今後もいろいろなトラブルが生じ、それらが前例・判例となっていくことだろう。


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