『冬のソナタ』ブームに見る韓国ドラマ 2004.3.24記

韓国ドラマ『冬のソナタ』が韓国で放送されたのが2002年1月。日本上陸は1年遅れで2003年4月からNHK-BS2で放送が開始された。本放送後、昨年暮れに2週間で全20話が集中放送されて人気を決定的なものにした。今年2004年になってもその勢いは止まらず4月からついにNHK地上波で放送されることとなった。

『冬のソナタ』が流行っていると聞いてもどうもピンと来なかった。というのはかつて韓国映画『シュリ』『JSA』などが小さなヒットなった時もかなり誇張された韓国ブームが作り上げられていた印象があるからだ。その背景には2002年に開催された韓日共催のワールドカップがあった。日韓の歴史的事実は動かしがたいが、この世界レベルのイベントで日本は一時的ではあるが、韓国を受け入れる下地が初めてできたのかもしれない。
2004年になって韓国では日本文化がほぼ全面的に開放された。それ以前は、日本語のCDは合法的に発売されていなかったし、日本人アーティストのコンサートは屋内で○○人未満のホールで・・・などといろいろな規制があった。それらきっかけになったわけでもないだろうが、韓国側が日本の芸能文化を受け入れ(海賊盤の世界はナシで)、日本側が『冬のソナタ』という韓国芸能文化を受け入れた(BoAもそうか)。日本での空前?の韓国ドラマブームが今後の日韓関係にどのように影響していくのかちょっと楽しみでもある。一過性のものなのかどうかも全く見当がつかない。

今、スカパーなどで放送されている数々の韓国ドラマは1998年ぐらいから2002年ぐらいまでのものが多い。ちょうどこの時期は私自身が少し韓国芸能文化に興味を持っていた頃であり、多くの韓国ドラマに接してきた時期でもある。だから今、放送されているドラマのほとんどは見たものばかりだ。
韓国ドラマは日本ドラマよりも放送回数が多い。ミニ・シリーズと謳ったものでさえ16話ぐらいがほとんどだ。ミニ・シリーズ以外だと40話以上の放送回数というのもけっこうあったりする。そして放送日は日本みたく週1回でなく週2回が普通だ(月火や水木など2夜連続)。
そして、放送時間。これが困ったもので毎回違ったりする。55分であったりそれより長かったり短かったりする。何故なのか?この辺の事情はさっぱり分からない。だから留守番録画はドキドキものである。不定なのは放送時間だけではない。放送回数も予定より多くなることもあったりする。そういえば『冬のソナタ』も韓国では70分枠だったように記憶している(日本は約55分)。
ドラマに出演している女優陣が美しいのも男性には嬉しい限りだ。

どのドラマも内容的に共通点があって面白い。ちょっとあげてみると、

■幼少・子供時期に不幸な別れや因縁が起こる。

子供の時に何らかの理由で親子や兄弟が離れ離れの生活を余儀なくされてしまう。その「何らかの理由」の大半は親たちの不注意だ。後先考えない軽率な行動や判断が、ドラマのストーリーを大きく左右する。そしてその結果、裕福な家と貧しい家でのそれぞれの生活が登場したりもする。

■イライラが面白さ?に拍車をかける。

韓国ドラマに嵌る人のほとんどは主人公を含む登場人物の優柔不断さにイライラする。イライラするけど見てしまう・・・こうなると完全に韓国ドラマの魔法にかかってしまことになる。韓国ドラマは四角関係というのが多いのでイライラする要素は山ほどある。
更にイライラ度を増す要素として、登場人物たちというか韓国人気質なのか約束を守らないというのもある。とにかく約束をすっぽかす。だから、お互いの感情にズレが生じて誤解を生む。それが見ている側のイライラ度を更に増すというわけだ。ドラマを見ながら「留守電にメッセージ残せよ!」などと思わずツッコミたくなる場面は毎回何度もあるはずだ。

■意地悪な敵役は重要なスパイス。

そして最大級のイライラの元となる意地悪な敵役が必ず登場する。この敵役の存在は特に大きい。ある意味主人公よりも重要な役なのではと思うほどだ。

■海外留学は定番。

登場人物の中にほぼ必ず、留学する人や留学から戻ってきた人、留学経験者が登場するのも韓国ドラマの定番。これも日本の尺度では考えてはいけないが、受験戦争や肩書き社会の象徴なのだろうか。
山口百恵が出ていた頃の大映テレビ「赤いシリーズ」などで裕福な家庭の食事はステーキが定番だった。これに似ていると言っては失礼なのだろうか。でも、留学は定番なのだ。

■不治の病や交通事故も欠かせない。

あとは、不治の病になってしまう登場人物も必ずと言っていいほどいる。これも見ようによっては反則ワザのようなタイミングで唐突に発病するので毎週見ないとエライ目に遭ってしまう。
同じように交通事故に遭うのも珍しくない。これはソウルなどでバスに乗ってみると納得できることかもしれない。

■失恋してもメゲない女性のタフさ。

恋する相手にフラれた時の女性のしぶとさも見逃せない。黙っては引き下がらない。あの手この手で相手の気持ちを戻そうとする。かえって逆効果ではないのかと思ってしまうほどしつこい。

ストーリーに関係ないが、韓国ドラマの室内のシーンはやたら明るい。貧しい家の中でもコウコウと明かりが灯っていて影が2つや3つは映っていたりもする。スタッフの姿がショーウィンドウや車のボディに映りこんでいることも度々ある。
これらは決してアラ探しをしているのではない。ストーリー以外にもいろいろな楽しみかたができるということだ。

韓国ドラマの史劇ではない現代ドラマは韓国の日常や風俗・風習を見るには一番適切だ。
服を着たまま眠るシーンや家の中でコートを着たままが目につくとけっこう気になってくる。
韓国で結婚に向かってのプロセス上で最も重要な約婚式は日本の婚約や結納の比でなく大きなイベントであることも分かる。お葬式での作法もフムフムしてしまう。肩書き社会を象徴するように会社内で肩書きで呼ばれる頻度も日本のそれとは違って多い。男性の立場、女性の立場なども日本と比較して見ても面白いかもしれない。
ひとつ注意すべき点は、『冬のソナタ』で韓国に嵌って韓国語を学ぼうとしている人もきっと多いと思う。韓国語は日本人にとって一番学びやすい外国語とされている。確かに入り口は簡単かもしれない。しかし、少しでも極めようとするとやはり壁にぶつかってしまう。ドラマで使われている言葉で韓国語を学ぼうとすると大きな間違いも生じてくる。ある程度学んだ上で参考にするには良いかもしれないが、最初から参考にするとマイナス面が大きいかもしれない。「パンマル」と言われる友達口調なども多いからだ。韓国は儒教の精神が強いといまだに言われている。相手に対して使い分けができないととんでもない失礼をしてしまうことになってしまう。一番困るのは、その失礼に気づかないことだ。

東京新宿にコリアン・タウンなる場所がある。在日韓国人や韓国からの留学生などが情報交換も含めて集う街だ。その中に『KOREA PLAZA』という韓国のCDやDVD・ビデオ、書籍を取り扱っている店がある。5〜6年前なら店に来ている日本人は、韓国音楽界のアイドル目当ての男の子たちが少しいるだけだった。2階の書籍売り場にいたってはお客が階段を上っていくと従業員が慌てて階段を上っていき、室内のライトを点灯するというぐらい暇?な店だった。
それが、最近では1階も2階も満員。しかも女性客が圧倒的に多い。中でも熟年層が多いのが目に付く。『冬のソナタ』『秋の童話』『ホテリアー』など高価なDVDボックスをたやすく買っている姿に驚く。2階の書籍売り場では『冬のソナタ』の主人公、ペ ヨンジュンが載っている雑誌を広げて歓声をあげている姿も目に付く。『冬のソナタ』の関連グッズも「ポラリスのネックレス」を始め、携帯ストラップ、レターセットなどを買い求める女性客もかなり多いみたいだった。

それらの場面を目撃すると、しばらくは韓国ドラマブームが続くのかもしれない。個人的には楽しみだが、一過性のものでなく両国が文化交流によって距離が身近になることを願いたい。


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