池袋ウェストゲートパーク 2000.6.25記

久しぶりに面白いテレビドラマに出くわした。 4月から6月までTBS系列で金曜9時から放送されていた「池袋ウェストゲートパーク(IWGP)」がそれだ。 何が面白いかというと「浮世離れ」している点が小気味良かった。「浮世離れ」といってもホラー/オカルト・ドラマのように現実離れしているという意味だけではない。
今の若者思想みたいなものが反映させれているような部分もあったし、設定自体には現実性があったと思う。 流行の先端みたいな扱いを受けている渋谷ではなく、どんなに頑張っても東上線の存在があることによってイマイチ垢抜けしない池袋を拠点にしたところが面白かった。
浮世離れという点は、特別にストーリーに関係ない部分での遊びが多く含まれていた。所轄交番の巡査が休憩時間に主人公、長瀬智也と服を取り替えて遊びに行ったり、ヤクザの親分、ブラザー・コンが赤ちゃんプレイが好きだったり、長瀬の母、森下愛子が怪しいネズミ講にに嵌っていたり、聞き取れないほど訛りの強い刑事がいたり、長瀬がことあるごとに焼きそばばかり食べていたり、と数え切れないほどの「ウソだろう?」というのがあった。これらのスパイスが若者のグループ抗争だけを描いたようなストーリーにおおいに貢献していた。
映像的にも遊び感覚が多く、ずいぶん映画を見ている人が作ったんだろうな、というのが窺えた。
演出家・堤幸彦の力なのか原作者・石田衣良の力なのか脚本家・宮藤官九郎という人(この人知らなかった。タイトルバックの侍が本人らしい)の力なのか分らないが、ずいぶんセンスがある(私の好みという意味で)ドラマを作ったなぁ、と感心ばかりだった。

ドラマは池袋を拠点にする若者たちのグループ抗争とそれに便乗しようとするヤクザ勢力、更には抗争を機に両グループを壊滅させようとする警察。そしてグループに係わる女の子の死を巡っての謎解きとグループに属さない長瀬智也の話。大昔の「傷だらけの天使」を思わせるようなドラマというと少しは分ってもらえるかもしれない。
主役の長瀬智也はずいぶん芝居が上手いんだなと感心させられたし、グループのリーダーを演じていた窪塚洋介というのも曇りがちの顔(難しいなこの表現は)をしていて雰囲気度は抜群でこれから要注意の役者かもしれない。更に重大な役ながら飄々と役をこなしていた加藤あいの熱演にも拍手。そして忘れてならないのは長瀬智也の母親役の森下愛子の怪演ぶりだ。その昔であれば加藤あいの役をやっていたはずの森下愛子をキャスティングしただけでもセンスはおおいに光る。
ただ、このドラマの2つの残念なところは、物語の真相の解決に「多重人格」を使ってしまったことと、楽曲性が全く低いテーマ音楽だ。映画と違って目くじらを立てるのも、と思うがかなり良くできた作品だけに欲は大きくなっての感想だ。

ジョークとふざける事の区別がつかない輩が多い中でこの「IWGP」はセンスが光るドラマだった。
フジの「踊る大捜査線」に続いて日本のドラマにまた新しいタイプが登場したといえるかもしれない。
このドラマのオフィシャル・ページにもそのセンスの片鱗は感じられるのでお暇な方は覗いてみてはいかがだろう。(終了したドラマなのでいつまで在るかは分らないのでリンク切れの際はご勘弁)
こんなドラマに出会えると最近の若い世代も捨てたもんじゃないなと思うと同時に、時代は大きく変わっているということを痛感させられてしまう。


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