守秘と漏えい 2002.3.2記

刑法第134条[秘密漏示] 
「医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人又はこれらの職に在った者が、正当な理由がないのに、その業務上取扱ったことにより知り得た人の秘密を漏らした時は、6月以下の懲役又は60万円以下の罰金に処する。」
 
※1:135条に「本章の罪は告訴をもってこれを論ず」とあり、いわゆる親告罪である。親告罪というのは、被害者みずからの告訴などがあって初めて罪が成立するものである。従って上記の職の人が第三者に患者の秘密を漏らしただけでは罪は成立しない。患者としては、告訴すると言う事は更に自分の秘密を公にする事になるので、そこまでしてもなお相手を処罰してほしい場合にのみ法律が関与するということになる。

刑法に守秘義務の漏えいに関しての記述がいくつかあったが一番代表的なものを載せてみた。
このようにいわゆる「先生」と呼ばれるような職業に就いている人には守秘義務というものがある。もちろん当事者はそんなことは百も承知なはずだが、今回触れるのは上記の職業などの周辺で働いている人からの情報漏れについてだ。

私の知り合いにも弁護士が何人かいるし、医療関係に従事している人もいる。さらに直接知らないまでも知人の枠を広げていくと、銀行・金融関係、電話通信関係など個人情報に関わる仕事に就いている人がたくさんいる。
知り合いの弁護士に会いに行った時のことだ。来客があるようで少し待たされていると馴染みの女性秘書が、ある依頼者の破産申告の書類を作っていた。その時に疑問が生じた。
弁護士自身が依頼者の秘密を漏えいしないように心がけてもこの事務所にいるたくさんの事務担当の秘書たちから秘密が漏れることはないのだろうか。退職していった秘書たちを何人も知っている。いくら弁護士秘書といっても仕事のスタイルは普通の企業の会社員と何ら変わりない。彼女たちに限らずある意味「神聖(大袈裟か)」な職業の周辺の人から秘密が漏れることはかなりあるのではないだろうか。酒の席で自分だけが知っていることをココだけの話として面白おかしく友人・知人に話すのは気持ち良かったりするのではないだろうか。

そんなことを思うようになってから秘密の漏れ方を意識していると他の業種でも同じようなことは当然あるということが分かった。
ターゲットになっているのは芸能人たちが多い。プライバシー、特に自宅住所、電話番号が一般の人たちに曝されることを彼らはかなり恐れているし神経質にもなっている。しかし、彼らのその秘密はいとも簡単に漏れてしまう。彼らが無防備になって(仕方なくだが)しまうのが、先にあげた職業の人の前だろう。警察、弁護士、医師の前では隠しようにも隠すことができない。そしてその周辺には秘書や看護婦などが必ず存在する。そして銀行などの金融関係の前でも無防備にならざるをえない。
実際、看護婦が芸能人の自宅の住所を知り得たことも確認しているし、金融関係の信用調査会社勤務の人から芸能人の誰それはブラック・リストに載っている、などの話も聞いたことがある。
携帯電話など通信関連勤務の人の中には退職の土産代わりに個人データを持ち出し、神田あたりの名簿屋に売却して小金や大金を稼いでいる輩もいるらしい。

このように少し考えただけでも個人の情報や秘密が漏えいする下地は驚くほどあるということが分かる。神聖なる職業だからといって安心などできない。ましてや個人情報の漏れということに関して危機感持たずにそれらを扱う仕事に関わっている人など山ほどいるのだから、安心などできるはずもない。あくまでも、個人個人が危機感を持って漏えいに神経質になるしかないだろう。それでも漏れてしまうのだから。

余談だが、市町村が主催する「IT講習」なるものの講師を一年間やった。延べ140名ほどの受講者がいた。毎回、受講者の出欠を確認する一覧表があったが、そこには各人の名前、住所、電話番号、年齢が記載されていた。個人情報に対して率先して神経質にならなければならない公の機関ですらこのありさまだ。個人情報保護に関しての未来は全くお先真っ暗といえるだろう。


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